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■□ ローマ帝国のひとびと 3 □■
ユリアヌス(在位361~363)


辻邦生の小説で有名になったこの"背教者ユリアヌス"には、生涯悲運の影がつきまとっていました。


名門出の母を早く失い、コンスタンティヌス帝の弟である父も兄も帝位争いの中で殺された彼は、追放生活の苦難に耐え忍ばねばならなかったのです。


ホメロスに没頭し、ギリシアの神々に憧れ、太陽と星辰を仰いで胱惚となる神秘的傾向などは不遇の彼の心の慰めでもあったのでしょう。


大きな運命の転変から一躍皇帝となり、軍人として戦うようになっても、文芸・哲学そして神秘さを愛する気持は変わりませんでした。


特に当時イランから帝国に広まっていた軍神ミトラスの密儀には大いに傾倒しました。


そのために人はユリアヌスが凱旋すれば、密儀で屠るために国中の牛がいなくなってしまうと噂したほどでした。


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